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1 1か月に1度の割合で某家裁出張所での仕事を担当していた時のことです。
初めて出張した時,同時期に庶務課長に昇進した課長さんが,申し訳なさそうに,「判事さん,こんな事件があるんですよ」と持って来られた遺産分割事件がありました。

 かなり古く,十数年にわたって,本庁から出張所に来ていた代々の裁判官(何人かの部総括裁判官-いわゆる裁判長-を含む)も手を付けず,後回しにされてきたことが,記録の内容はもとより,その紙質からも歴然たる事件でした。

 戸籍謄本等が,今の写真式複写でなく,昔のジアゾ(青写真)式複写でした。

 年月を経たからでしょう,元は白地であったはずの,文字以外の部分も,文字と同じ程度に青黒くなっており,とても読みにくい記録でした。何年も放置されてきた理由も容易に察せられました。要するに,読みにくく,読むのが面倒臭いからです。

 もっとも,私は,その出張所に行く度,その記録を丁寧に読み進みました。なにゆえに放置されてきているのか,何か実体的な理由があるのか,それを知りたいと思ったからです。
 相続関係図も,申立人が出したと思われる図面は脇に置き,自分で戸籍謄本等を使って図を作りつつ細かく検討しました。
 面倒臭い作業でした。
 最終的には,私も驚きましたが,申立人は単なる「遠縁の者」で,相続人ではありませんでした。
 何回目かの出張の時,庶務課長さんに,まとめた書面を見せながら,「申立人はいわゆる遠縁の者で,相続人じゃありませんよ。『取り下げませんか。維持するなら却下しますと裁判官が言っています』と連絡してください」と申し上げました。
 課長さんも,「エッ」言って書面をまじまじと見ながら,「ほんに,そうじゃが・・・,判事さん,こりゃ,相続人じゃありませんなぁ」とおっしゃっていました。
 その後,申立人から取下書が提出されていました。
 未済期間十数年の長期未済事件がスパッと処理できた瞬間でした。
 一方,「超長期未済」の実態のひとつを探り当てた気もしました。要するに十数人に及ぶ担当裁判官達の単なるサボりです。
 文字以外の白地が白い間にちゃんと読めば,数か月で片付いたはずの事件です。

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